むーさんから頂戴いたしました、短編十二ヶ月六月期へのご感想です。







「キミの、猫」 原作:進行豹さん

「幹夫の、猫」リライトタイトル リライト:yositaさん

 

《原作》

 初読時に感じたのですが、前半部分を読んでいると(意図的にしていると思う

が)、「キミ」の

行動なのか「ミケ」の語りなのか少し混乱してしまいました。

 しかし、子猫に乗り移ってからは物語の内容が良く理解でき、「キミ」の葛藤や子

猫の必死さ、

そして「ミケ」の「キミ」に対する想いが出ていて良かったです。それらが生きてい

るからこそ

ラストは感動的なものになったと思います。

 靴紐を噛むときの「ンニャっ」が良かった。思わずどんなシーンか想像していまし

た。

 

 

《リライト》

 「キミ」を「幹夫」に変えたので(原作を既に読んでいるからかもしれません

が)、「ミケ」の

語りとの区別がつきやすくなり、読みやすくなったように思います。

 原作の「呼びかける声は、とまらない」は、幹夫が必死にミケの名前を呼んで探し

ている状態で、

リライトの「誰かが、呼び止めようとも止まらない」は、第三者が幹夫を呼んでも探

すのを諦めない

状態なのでしょう。ちょっとした違いですけど、どちらの表現もありだなと思いまし

た。

 子猫を飼えない事情をカットしたのも、敷金や弁済金の件のあと、「お金で解決で

きることなら

バイトを増やして〜〜」の部分と矛盾してしまうので、話の内容的に正解だと思いま

した。

 

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「ネコ耳バンド」 原作:yositaさん リライト:achroさん

 

《原作》

 yositaさんの作品はいつもコミカルで楽しませてもらってます。

 今回はネコ耳バンドとのこと。いい年の男が自分でも「僕がつけたところで……」

と言っている

いるのに、「にゃーー」とは笑わせてもらいました。

 黒ネコ一匹では不吉的なものですが、黒ネコの集団が襲いかかって来た時のことを

想像すると

本当に怖いですね。確かに悪魔的に感じてしまいそうです。

 就職で苦労している僕と、両親の願いを叶えるのが、黒ネコになって(会社的な)

悪魔稼業を

行うというのがブラックユーモアになっていて面白かったです。

 

《リライト》

 冒頭で加筆されてる、一日に3回も黒ネコを見るなんてことがあれば、もしツイて

る人でも何か

あるんじゃないかという不吉的なものが表現されていて良かったです。伏線的なもの

だったので

しょうが、これがあるから就活がうまく行かず、落ち込んでいるのがより引き立って

いるように

感じました。

 田端との会話が飲みの席で、酔いの回った状態でいろんな愚痴や不満が出てくるの

は、より自然

な感じが出ているように思いました。

 

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「赤いガラスの向こう」 原作:achroさん リライト:糸染昌色さん

 

《原作》

 登場人物の描写が巧妙で、普通の推理物かと読み進めていました。が、登場人物の

ほとんどが

猫だったとは気が付きませんでした。なにせ叔父やら叔母やら母まで登場させると

は、完全にヒト

の話だと思い込んでいました。

 淡々と事実に迫っていく茜の姿が印象的で、傍観者として最後まで自分の想いを貫

き通す姿勢は

冷たくもあり、しかし一番公平に物事を見ているのだろうなと感じました。この姿は

最後の謎解き

後の「誇り高き赤毛のペルシャ猫」にピッタリあってるなと思いました。

 

 

《リライト》

 スイソクを大きくリライトしており、寛太の興奮ぶりと茜の平静さ、源治の強欲ぶりが

更に表現され

ていました。登場人物の個性が強調されていて良かったと思います。

 源治の飼い主は強欲の成金だったのかと想像しました。

 

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「つゆのあとさき」 原作:KAICHOさん

「おむかえ」リライトタイトル リライト:進行豹さん

 

《原作》

 「我輩」の口調が全編を通して固いなか、「シニガミ」の軽い口調がいいスパイス

になって、

読みやすくなっていたと思います。これがなければ、読んでいて疲れそうです。

 「我輩」は頑固爺さんのように感じられ、「シニガミ」がそれを軽くいなすやり取

りが面白く

感じました。

 物語的にはKAICHOさんらしい展開で、手堅くまとめてるなと思いました。

 欲を言えば、「ご主人」とのエピソードとかアプローチがあればなお良かったので

はと思いま

した。(本作品が悪いと言っている訳ではありません)

 

《リライト》

 原作の持つイメージとリライトでは全く別の作品に感じられました。

 原作の持ち味は「我輩」と「シニガミ」の語りで、「シニガミ」のキャラが無くて

は物語の

面白さが激減するのに対し、リライトではキャラ的な意味でのシニガミは必要なく、

ラストでは

私が欲しいなと思っていたことが書かれており、驚きました。

 文章的には、いつもの進行さんテイストで読みやすくなっていました。

 少し残念なのは、シニガミとのやり取りがほとんど無いので、物語の半ばは、少し

ダレてる

ように感じました。

 

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Without Word」 原作:糸染晶色さん リライト:KAICHOさん

 

《原作》

 少年と犬と猫の会話にならない会話がとても面白かったです。たまに会話として成

立している

ところもあり、そのギャップが良かったです。

 犬の話は犬らしく(勝手に決めつけていますが)納得できますが、猫の話はイメー

ジ的に違和感

があり(勝手気ままな性格のように思うので)少し残念に感じました。

 しかしながら、誰でも一度は思っていることを題材にした、とても面白い作品でし

た。

 

 

《リライト》

 原作で違和感のあった猫の話がツンデレになって、違和感がなくなったというよ

り、面白くなり

ました。「気安く触らないでよ!」と言いつつ、喉がゴロゴロと鳴っているのには笑

えました。

 また、文章がスッキリし、読みやすくなって良かったです。

 個人的にツンデレ好きなので、このリライトはとても良かったです。(個人的嗜好

ですみません)

 

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 いつもながら、好き勝手に書いてしまい、申し訳ありません。

 読書感想とか得意な方ではありませんので、的外れなこととか、失礼なことが書い

てあるかも

しれませんがお許しください。

 

 皆さんお疲れ様でした。次回も参加される方は、頑張ってください。

 

 

(原作の方やリライトされた方にも読んでいただけたらと思います。

 転送、公開など必要があれば、ご自由にしていただいて結構です。)