まずは読者として感じた点。
 1点目として、アリスとアリシアにビンに引き込まれるという筋書きについて、昔に飲み屋で書いた原稿用紙をボトルシップにしたということと、現在コンビニで買った栄養ドリンクのビンとでは繋がりが希薄だと考えました。コンビニで買ったドリンク剤は7年前の復刻版ということですが、7年前の飲み屋でのビンは、小さくたたむにせよ原稿用紙を詰め込むというには栄養ドリンクのビンではなかったと考えられます。
 2点目として、175行目の「しかも、決まった動作を繰り返し行っている。」との部分について、同じ一日を繰り返しているということを表現するものだと解釈しましたが、同じ一日を繰り返すとするならば、わずかな時間だけ主観視点の男が見ているだけで「決まった動作を繰り返し行っている」と理解することはできないはずであります。
 3点目として、187行目「何せ、彼女たちは2500回目を越えているんだからな」との田端の言葉に対して、274行目の同じく田端の「7年前からずっとだ、2000回をゆうに越えているだろう。」との言葉には違和感があります。回数のズレのほか、先に「2500回を越えているんだからな」と断定していながら、後に「2000回をゆうに越えているだろう」と推測の表現となるのは不自然かと。
 4点目として、アリスとアリシアが主観視点の男と田端をビンに閉じ込めるに至ったのは、同じ一日を繰り返させられたことへの復讐と解釈しましたが、書いた物語の登場人物というだけではアリスとアリシアだけに特別の動機があるとは読み取れませんでした。
 5点目として、誤字脱字が多かった印象です。229行目・258行目・271行目・312行目に使用されている「ーー」は、29行目の「――今年35歳になる俺が、なぜ徹夜続きなのか。」に使われている「――」であるべきだったと思います。

 以上の問題意識からリライトを試みました。
 1点目に対しては、原稿用紙をビンに詰め込んだという点を変更しました。しかしリライト後でも、7年前に原稿用紙に染み込んだ栄養ドリンクと現在の栄養ドリンクが同じというにとどまり、依然として十分な繋がりを作出できませんでした。この方法だと「アリスとアリシアをビンの中に」という部分が失われるのですが、そもそも7年前のビンと同じビンが手元に舞い込んできたというケースでもないと繋がりを表現することは難しいと考えたこと、また題名が「栄養ドリンク」であったことから、栄養ドリンクという部分を維持しました。
 4点目に対しては、アリスとアリシアの話は途中でぶつ切りになってしまった、ということを原文の行間から解釈したのでそれを強調することにしました。それでも、書き上げられず途中で止まってしまった物語が世に少なくないだろうことからすると、厳しいだろうとは自覚しています。
 2点目・3点目・5点目に対しては表現の削除と調整を行いました。

 私のリライト稿よりは、読者としての感想の方が参考になれば幸いです。