「世界の中のメアとルウ」
この作品を読んだ後には、不思議な読後感がありました。感動や感傷とは違う、
なんというのか、「ほっこり」というかんじ。最後の師匠の独白が非常によい
スパイスになっていると思いました。
ただ、だからこそ、前半のどたばたの無駄な部分の冗長さが目立っていると
思いました。そこで、テーマを切り出して、それに注力するようにリライト
することにしました。

読んだ限りで、私が思ったテーマは以下二つ。
1. 師匠がダメ姉妹メア・ルウを成長させるために、ちょっとひねった課題を与え、
  解かそうとした
2. ダメ姉妹メア・ルウを、それでも優しく包み込む師匠。実はそれは、二人を
  自分のエゴで顕在させてしまった彼の贖罪。しかし今では、メア・ルウは
  生活を楽しみ、師匠はそれを確認できて救われるのだった。

現在は1.が長すぎて、2.の印象が薄くなってしまっているように感じました。
ストーリーとしては2.に比重をおくべきで、リライトでは1.をその呼び水として
使うためにさらりと終わらせた……かったのですが、まだもう少し短くした方が
よかったような気がします。

それと、各自の口調にぶれが大きいことが気になりました。私は、キャラクタの
セリフは「セリフ一つ見ただけで、発言者が誰か分かる」のが理想だと考えて
いるので、それに従い、リライト前に各自の口調と性格を以下のように定めました。

 ルウ:少しキツめの女の子、一人称「アタシ」
 メア:ルウのおしりにひかれ気味、少しボーイッシュ、一人称「ボク」。男でもよい
 師匠:四十路の落ち着いた男性、丁寧語。一人称「私」

 

以下読み返しつつ書いたメモ。「→」以下はリライト方針短信
======================================================================
・「師匠」という呼び方が堅く感じる。「お師(匠)さま」「先生」とかの方が
・師匠の口調が統一されていない。「ですます」の時と「だった」の時がある
・お師匠さんの姿が、読者に想像できない
  - 性別は?年齢は?服装は?
    →四十路の男性、フード付き黒マントで魔法使いぽく
  - どの程度の人物なのか?人間性は?魔道士としてのレベルは?
・メア・ルウが二人である意味が薄い。なぜ一人ではないのか?
  - 二人の性格を分ける
  - メアの一人称であることに意味はあるか?
・最初、つまみ食いのシーンは不要ではなかろうか。やるなら短く
・魔方陣を書く材料に木の実の果汁を使ったのはなぜか?
 → 冗長なので省略、木の枝や石の欠片とかでいい
・テーブルの周りに草が無い理由が足りない。それだとメア・ルウが勘違いしても
 仕方ないと思う
・「とりあえず火の術式を」はなぜか?
 → それしか知らないことにすればいい → 省略してもよい
・「なにかないか……(=師匠が掃除をさせようとした理由があるのではないか)」
 → 最後まで気づかない方がいい。
・小屋の掃除の「簡単な方法」については、今はそこが伝わりにくく感じるため、
 師匠がヒントを残していて、「二人には克服(解決?)できる力があったはずですよ」
 のようにもう少しわかり易い形に。お仕置きではなく修行の一環として。
    → 「厳しくも優しい師匠」を演出する
・術式と精霊と魔法が別のもののように書かれているが、このレベルの短編だと別に
 する意味は無いのではないか?
    → 同じものとして扱う
・「術式」などが短編中で説明不足になっている
    → 「呪文」「魔法」などの一般的な(ちょっとレベル低いけど)言葉に置換する