『葵のさがしもの』リライト意図 (GoShu)
【形式面】
1.地の文と人物科白の区別がつきにくく、また同一人物の発言が
連続する時も一文単位でカギカッコが区切られています。
これによって、読みにくさ、および話者が誰なのかの混乱が
生じているように思います。
ノベルゲームの表現だとは思いますが、今回は提出する文章が
「公開/発表形式」なので、読みやすさへの配慮は
あったほうがよかったかと思います。
今回は
・科白部を明示する。
・同一話者の科白が連続する場合、第二科白以降の
話者表記は省略する。
という形式としました。
これがうまくいっているか、若干の懸念はあります。
通常の小説形式にしたほうが優れているかもしれません。
本稿では、原作のスタイルをできるだけ踏襲することを
優先することとしました。
【内容面】
1.作品の狙いを以下の2点と認識したうえで
リライトさせていただきました。
1−1.
中心となるものは(ミステリなので)
絵本消失の謎。
1−2.
お気楽な夫婦、家族の雰囲気を重視した描写。
2.上記1−1、絵本消失の謎については、
たとえこの長さのシナリオであっても、
作品一つを背負うには若干小さいかと考えました。
とはいえ、お題とも絡みますので、他の解決を
メインにすることも難しいと判断しました。
対応として、本解決はそのままとし、絵本の特徴についての
付加要素を追加しました。(下記4も参照)
3.原作では、葵本人が自分のお出かけカバンの中を見れば
すべて解決しますので、絵本探しが3日かかっても
終わらないのは不自然と感じました。
このことから、絵本のある場所および時間経過を
修正しました。
4.姑を探偵役とした意図。
冒頭で姑について話されていますが、その後登場せず、
その部分の描写の必然性が低く感じます。
また、原作では、謎が主人公内部の気づきだけで解決してしまうため、
あっけなさを感じました。
外部の人間が気付いたほうがいいのではないか、そして姑に
その役を演じてもらえば冒頭の記述を生かすことにもなると考え、
この形にしたものです。
(蛇足ながら、「姑と嫁がコンビ探偵」「ただし共闘するのは
孫が関わるもののみ」というシリーズは面白いかもしれない、
ということを思いついたりしました)
また、これだけでは主人公にいいところがないので、
上記した謎の追加要素の解決について、それなりにいいところを
見せるようにしました。
(正確には、主人公に見せ場があるように、謎の追加要素を設定しています。
また、「ママによんでほしいの」などの、原作では意味が薄くなっている
記述に意味を持たせることも意図しています)
5.その他、「青い本」と言われる前から青い本を
探しているなどの点を修正しました。
また、この話であれば短いほうがすっきりしていると思ったため、
リライト者基準ではありますが、「賭け」「二股」等、
物語の内容と関連性が低いと思われたものをはじめとして、
いくつかの記述を削除しました。
6.上記諸点の修正にあたって、1−2を損なわないよう、
可能な限り意を払いました。
以上です。よろしくお願いします。