【短編十二ヶ月 二月期 むーさんから頂戴したご感想】 


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「リライティング」 原作:進行豹さん リライト:achroさん

《原作》


 タイトルですが、短編12ヶ月初のものとして、進行さんの意気込みが伝わってくる
ようです。

 この作品で良かったと思ったのは、高藤の心情の変化でした。

 笹井とのやり取りの中で「交流を持つことのない」「ネームバリューも何もない」

「今をときめいた記憶なぞない」(最後はリライト稿で削除されましたが)と否定的な言葉で、笹井に

対して思っていることなのでしょうが、私には、高藤が無気力に仕事をしているよう受け取れました。

 それがラストでは、「紡いでいける」「歩んでいける」「きっと叶える」と人が変わったように

前向きになって、やる気に満ちているように感じました。花歩さんとの一件が意識せずとも、心の

わだかまりになっていたのが解決された、高藤の高揚感が伝わってくるようです。

 笹井のキャラも良かったです。仕事の依頼で来たということですが、実際には花歩さんを憐れんで、

何とかしてあげたいというところが、人間味があって良かったです。これで作品もヒットするような

ものになるなら、本当に腕利きの編集長ですね。多分そうなのでしょう。


《リライト》


 原作での笹井のセリフで「とても穏やかな方だ。かほさん、ですか?」というのが
ありますが、

その部分もリライトされていました。よく考えると、笹井には「かほ」という名前を知りえなかった

はずということが分かりました。笹井には姿と願いが分かるだけで、会話はできない設定でした。

 リライトにより全体的にすっきりさせて、その分思い出を入れるだけで、最後は原作以上の

盛り上がりを感じました。

 一番良かったのは「……ふふ」というセリフでした。普通に考えれば笹井の笑みなのでしょうが、

聞こえるはずがない、話せるはずもない花歩さんが微笑んだように感じられました。

たったの二文字ですが、とても暖かな気持ちになりました。


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「空とピート・オブライエンについての短い挿話」 原作:GoShuさん

「ピート・オブライエンの帰還」リライトタイトル リライト:進行豹さん


《原作》


 冒頭で「ある少年の幸せについての〜〜」と書かれている通り、空に憧れたビート
の幸せな気持ちや

満足感が良く伝わってきました。一例を挙げると「眠りから覚めて”おはよう”」の部分では、

暖かな日差しの中、草原で昼寝をしているようなイメージを感じました。この幸福感をだすには

ビート本人の一人称か、神視点の三人称でなければ表現が難しかったと思います。

 この点は原作の一番良かった点だと思いました。

 「妙に黒い雲」の部分では、ビートの生死?を分かつところだけに、雲に対する不吉さなど

もう少し説明や、ビートの気持ちが欲しかった気がします。

 ラストでは「青い本」が次の持ち主に渡り(実際は別の本ですが)また空に誘って、これを

繰り返していくような不思議な本をイメージしました。


《リライト》


 一人称なので、テンポよく楽しみながら読めました。また、ボブのキャラが錬電
ファンなら

誰でも知っているマナカさん風(ほとんど本人!?)で親しみを持てました。

 物語も違和感なくラストまで軽快に繋がっていて、練り込まれている感じを受けました。

 ただ、ビートの幸福感はボブの一人称であるため、十分に感じられなかったのが残念でした。

 ラストでは「青い本」が次の持ち主に渡り繰り返すのではなく、あくまでビートが還ってきた

という物語になっており、ビートの物語の味付けに「青い本」が使われてるんだと思いました。

○こうして読んでみると、原作とリライトは全く違う物語になっており、比較してしまうから、

お互いの長所短所が目立ちますが、片方だけ読んでいればそれぞれ面白い物語だと思いました。


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「イミテーション・ブルー」 原作:achroさん リライト:KAICHOさん


《原作》


 この作品を読んで最初に思ったのが、定年で退職した会社の上司達でした。皆さん
12年後

に再会すると退職後も変わらず元気な方と、とても老け込んでいる方に見事に分かれています。

 お話を聞くと、元気な方達は、趣味の写真やゴルフなどに励んでいるそうで、老け込んでいる方達は、

孫の相手や奥さんの買い物に付き合う(運転手)くらいだそうです。そんな様子を見てきましたので、

冒頭の敏夫の姿がリアルに想像でき、黄昏という言葉が思い浮かびました。

 そんな夢も趣味もないような敏夫が、「青い本」の力を借り、夢を再び見ることが出来るように

なるのは非常に感慨深いものがありました。

 夢の中で海賊から逃げる時の、マルガレーテとのやり取りが、コミカルで面白かったです。

 ただ、偽りの空の話が少し唐突に感じました。

 ラストでは「新鮮な色合い」「不敵な笑みを浮かべた」などの表現があり、60才過ぎのはずが

とても若々しく、前向きな気持ちが感じられ良かったです。


《リライト》


 冒頭での会話で「邪魔だったか」「散歩してくる」など、退職後の自宅での居心地
の悪さや、

時間を持て余している様子が感じられて良かったです。

 特に「散歩してくる」は、近所の爺さんが散歩してるのを思い出してしまいました。

 夢の中でのモノトーンの表現が、敏夫が夢を忘れてしまったことや、現実的なことを表している

ようで印象的でした。できれば、色ずくところを読んでみたかったです。

 夢の中での出来事は、姫を海賊から助けなくても説得力のある締め方で、すっきり纏まっていて

良かったと思いました。

 ラストでは、妻の視線が「三十年ほど前の視線に、少し似ていた」というのが印象的でした。

色々と想像させられる、良い文章だなと思いました。


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「葵のさがしもの」 原作:yositaさん リライト:GoShuさん


《原作》


 軽快な会話文中心で、楽しみながら読めました。和美は色々不満を言ってはいます
が、明るく

幸せそうな家庭を描けていて良かったです。

 会話の中で「ババア」のくだりでは、おもわず吹き出してしまいました。

 ただ、誰のセリフか分からなくなり、混乱することがありました。

 日常ミステリなんでしょうが、カバンの中から緑の絵本が出てきたときに、オチが分かって

しまったのが少し残念でした。

 ラストでは「葵」と青を掛けて、名前を「緑」でもよかったなとありますが、ここまで考えて

名前を「葵」としたんでしょうか? そうであれば「ババア」や「葵」など言葉の掛け合いに

センスを感じます。


《リライト》


 原作で、すぐ謎が分かってしまうところを中心にリライトされていて、日常ミステ
リとして面白く

なっていました。

 探し物が「リスが書いてある青い絵本」、目的の物が「森の絵本」で、色や動物など直接的な

関連を持たせなかったのは良かったと思いました。原作を読んでいるので、多分これだとは思い

ましたが、決定的ではないので興味を引き続けることができました。

 姑を解決役にしたことで、物語の厚みも増したように感じました。

 文章も読みやすくなって、良いリライトになったと思いました。



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「幸せの配達人」 原作:KAICHOさん リライト:yositaさん


《原作》


 短編でこれだけ完成度が高く、感動的な作品はなかなか読むことが出来ないと思い
ました。

 青い本とは何なのか、疑問に思いながら読み進めていると、いつの間にか物語に引き込まれていました。

「ボク」の配達人としての幸福感や満足感が、余すところなく伝わってきました。それが最後では

強い説得力をもって、配達人としての義務や疑問が感じられました。

 そんな中で最後のナカニシタエさんとの会話が、「ボク」にとっての救いであったように思います。

 短編なのに満足度の高い物語で面白かったです。


《リライト》


 この作品をリライトするのは、難しかったと思います。

 作品の雰囲気を壊さないよう、リライトしているように思いました。

 ナカニシタエさんの「でもね、知らせてくれてありがとう」の部分は、とても良く感じました。

 初めて会った時は、みんなは喜んでくれるのに、タエさんは涙を流しながら平手打ち。後半では、

みんなには「ウサバラシ」されているのに「ありがとう」。この対比の表現がとても印象的でした。

 「ボク」の落ち込んだ気持ちを救い上げてくれる、良い文章だと思いました。



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 いつもながら、好き勝手に書いてしまい、申し訳ありません。

 読書感想とか得意な方ではありませんので、的外れなこととか、失礼なことが書い

てあるかもしれませんがお許しください。

 皆さんお疲れ様でした。次回も参加される方は、頑張ってください。