『Why did we DeathMarch on 同人ノベルゲーム 〜錬電術師で死にかけるまで〜』


【同人ゲームサークル様 死にかけ事例アンケートご回答紹介】



< SIGN WORKS -Limited Edition- 智斗紅さんから頂戴いたしました アンケート結果 >

* 同アンケートは 『錬電術師で死にかけるまで』 の内容充実のため、
抜粋掲載させていただく前提にて募集させていただきましたものです。
しかしながら、「誌上でご紹介しきれないアンケートの価値」があまりに高く感じられましたもので、
ご許可を頂戴した上で、WEB公開させていただくことといたしました。



■ 【同人ゲームサークル様 死にかけ事例アンケートご回答紹介】


Q1:プレイヤーさんからの感想・レビューによって、その作品に対する
 (例えばパッチでの対応や、体験版→本編という形での)
 『当初予定からの変更』を加えることはありますか? 

  あるにせよ、無いにせよ、その理由は何でしょうか?



  基本はありません。こちらが事前に検討し、修正の必要性を感じて、
 それを公開配布までするメリットが無ければ、一度公開した物が完成系になります。(あきらかなミスを除く)
 ですが、体験版段階では、キャラの性格の補正(口調をキャラごとに分かりやすく、など)、
 CG差し替えなどは、製作スキルと相談して行う場合はあります。
 ただ修正はともかく、追加は場合によってはアリなのでは、とは考えています。
 重要なのは、すべてのレビューを反映したとしても、それは平均化された作品になる可能性があるので、
 一度発表した作品を仕様変更するリスクを抱えてでも製作サイドがその必要性を認識できるか否か、
 というのが一番大きいと思います。


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Q2:『委託販売、DL販売の売り上げ』は、制作予算に組み入れますか?
  組み入れるのであれば、どのように売り上げ予測を立てているかを。
  組み入れないのであれば、それの使途を―― お教えいただけますと幸いです。

  売上金が発生してから予算に組み込みます。
 つまり、見込みなどの予測は一切計算に入れてません。
 後から湧いて出てきた製作資金、という程度で考えています。

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Q3:『サークル・作品をより多くの方に知っていただくために留意・工夫していること』はありますか?
  もしあるなら、それはどのようなものでしょうか?

  イベント時には、必ず一定以上のサイズのポスター作って持って行くようにしています。
 ポスタービジュアルは、初めての方には目に留まりやすく、有ると無いとでは集客力にかなり差が出ます。
 すでにサークルを既知の方にも、目印としてやはり効果があります。

 また体験版に関しては、【無料配布】が鉄則だとうちでは考えています。
 とにかく、体験版を持って行ってもらう事が作品を知ってもらう第一段階なので、
 必ずしもその後、自宅でプレイしてもらえるとは限らないですが、有料だと手に取ってもらえる可能性が激減します。
(超有名サークルでもない限り無理という結論を、過去に数回有料配布やって得ました)
 なのでそこは採算度外視で、ビラ感覚でばら撒くつもりで行っています。

 さらにほぼイベント毎に体験版ディスクの最後のオマケ要素を差し替えてる、なんてこともしています。
 つまり、ゲーム本編は同じものなんですが、イベントごとに最後のオマケが毎度違うので、
 毎回新しいの作っています。知っている人はそんなに多くは無いとは思いますが、
 ご存知の方は、毎度来ていただいて、持って行ってもらっています。
 サークルとしても遊び要素が強いので、その時期ならではな時世ネタとか、いろんな事が出来るので楽しいです。
 (当サークルの体験版では、本編が終わった後に、登場キャラクターの寸劇があります。基本宣伝だったりするのですが、
 キャラ性の崩壊などお構いなしでまったく関係ないぐだぐだ話を展開させたりもしています。)
 
 これらが結果として、サークルへの関心へとつながるので、
 やはり目をつけてもらう第一段階のPOPは特に意識して、
 【折角来たイベントなのだから、そこでサークルを覚えてもらおう】、というスタンスで広報しています。

 WEB面では、ゲーム製作という都合上、あまり更新頻度を高くすることはできないので、
 可能な限り、ビジュアルの露出を意識して行おうとしています。
 トップCG更新、キャラ絵、絵師のラクガキでもなんでも、
 そういったものを小分けに出して、ビジュアル方面から関心を得ようと攻めています。
 まぁ実際はビジュアルストックがなかなか無いので、うまくは行かないのですがね。



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Q4:『他サークルの製作者さんとの交流』は、積極的に行ってらっしゃいますでしょうか?
  行っている/いない いずれにせよ、そこから感じたメリット・デメリットをお教えいただけますと幸いです。


  イベント時では積極的に行うようにしています。
 サークル様のお名前を把握するのが大変になる事もありますが、
 基本同業者仲間として、または作品ファンとしてもお話できるのが楽しいです。
 特に、製作における裏話など聞けるとやはり同業者としてわくわくしてしまいますね。


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Q5:『開発途中に、作品ボリュームを増す』判断をされたことはございますでしょうか?
  おありの場合には、どのように「当初予定スケジュール」との折り合いをつけたかをお教えいただけますと幸いです。



  あります。現在進行形です。
 基本延期になってしまいますが、可能な限りイベント直前に修羅場モードに突入して、
 遅れた分を取り戻すスタイルを取っています。
 また、イベント直前でボリュームカットの判断も場合によっては行っています。
 よほど納得いかない場合はその限りではありませんが、修羅場モードの効果は絶大なので、
 可能な限りどこかで必死になって作業して取り戻す、という形で行っています。
 それでも無理な時は無理なので、業者プレスを断念し、イベント直前まで作業して、
 パッチ前提の完成間近人柱版のお手製廉価パッケージで対応したこともあります。




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Q6:制作中に、サークルメンバーが 「なぁなぁ」の雰囲気に陥ってしまったことはございますでしょうか?
  (例、お互いの遅延を横目で見て、自分の遅延を許すような状況)

  あるのでしたら、それにどう対処したか。無いのでしたら、何故それを回避できているかにつき、
  お教えいただけますと幸いです。


  あります。基本回避不能だと当サークルは考えています。
 いかんせん、メインメンバーが学生時の友人で構成されているので、スケジュール遅延を回避するのがなかなか難しいです。
 ですが、可能な限り全員の製作スケジュールをそれぞれが把握し、「自分が遅れたらヤバイ」という認識を
 各メンバーに持たせるようにしています。また、代表(智斗紅)がスケジュールを各メンバーごと把握・調整して、
 段階分けして現状の成果物を提出してもらい、進行状況を確認する方法も、ケースバイケースで行っています。


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Q7:『リリース予定の当日に、どうしてもv1.00のリリースが間に合わない』という状況に陥ったことはございますでしょうか?
  もし経験がおありの場合には、どのように対処なさったか、その顛末などお聞かせいただけますと幸いです。

 
  Q5の回答と若干重複しますが、パッチを後に公開することを前提とし、現段階の限界バージョンとして
 廉価版(700円)を出すことで対応したことがあります。後に、1.10以降のバージョンを正式完成版とし、業者プレスを行い、
 そちらは通常価格(イベント価格1000円)で販売しました。
 あまり褒められたスタンスではないのは理解しているのですが、同人ならではということでユーザーさんに理解していただこうと考えています。

 原則としては、リリース予定日には、意地でも何らかの作品を形にして出します。

 当サークルはおかげで、イベントのたびに、現地でプレス(CD焼き作業)をすることに定評があります。
 コミケ回数的には、恐らく3〜4回ほどはやらかしています。
 ホテルで必死に「だーっ!!!! らめぇぇぇぇまにあわねぇぇぇえええ!!!!!」とのたうち回りながらスクリプト、デバックをして仕上げ、
 そのまま無睡眠で可能な限りディスクを生成して、それでも数が足りない場合は、現地でもきゅもきゅと生成をする。
 現地でノートPCがデモにではなく、ただひたすらディスク焼きの為に使われていました。
 本来はデモの為に予備バッテリーをも用意したはずなのに、それすらもディスク焼きにのみ使われたという、残念な感じに何度かなりました。
 焼き作業ナシで参加できたときに、挨拶に来てくれたサークルさんが
 「以前は忙しそうだったので、声かけにくかったんですよ(笑)」と笑いながら言われました。それも良い思い出です。
 なので、ゲーム完成が当日の朝なんてことはザラでした……作品に同梱されているReadmeを読めばそこらへんの雰囲気を多少味わうことができます。
 現地でディスクをPCにぶち込んではケースに入れている作業をしているサークルがあれば、恐らくそれはウチです。
 展示されているディスプレイを見てくれている人に「実は今日の朝に完成した出来立てほやほやなんですよ!」なんて言うと
 苦笑いしながら買ってくれることがあります。有り難いことですね。

 最近はノートPCを複数台持っていき、さらに外付けドライブも別に用意して、
 可能な限りホテルでディスク焼き作業を終われるようにしています。
 実は、コミケ前にホテルで熟睡できたことって、一度くらいしかないんです……いつかゆっくり寝て、体調万全で参加してみたいものです。
 (コミケにはC72以降すべて参加しています) 


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Q8:『作品開発が泥沼に陥り、作業を重ねても重ねてもゴールが見えない状況(いわゆるデスマーチ)』に陥ったことはございますでしょうか?
  もし経験がおありの場合には、どのように対処なさったか、その顛末などお聞かせいただけますと幸いです。


  気分転換に楽に作れるゲームを作りました。当サークルの場合は「妄想外伝」というスタンスをとり、
 立ち絵などの素材流用、シナリオ適当(短め、ネタ多し)、クオリティは若干度外視、そしてアホみたいに笑いながら作ってみました。
 また、東方ジャンルで同人誌を作ったりと、全く関係のない事もやったりしました。
 まったく関係のないことをやると、思考を一時的にリセットできるので、本編作業に戻った時にはかどる事が多いです。
 ですが全体スケジュールは遅延しまくるのですがね。その場合は覚悟の上でやります。
 同人活動をしてる!という感覚は得られるので、メンバーの了解を得られるならアリだと考えています。
   


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Q9:『製作中のサークルメンバーのモチベーション維持・上昇のため、留意・工夫していること』はありますか?
  もしあったら、それは どのようなことかでしょうか?


  Q8の回答と若干重複しますが、メインラインの作業と関係ないことを突発的にやったりします。
 当サークルの場合は東方や二次創作活動をやったりして、一定の創作モチベーションを維持できるように努力しています。
 あとは、ミーティングを定期的に行って、現状を全体が把握して「焦ってください」や「このCGサイコー!」などの
 意見を言い合って、各メンバーの意識が自分以外の製作状況も意識できるように工夫しています。
 実際に食事がてらにミーティングなどを行うと、気が引き締まります。

 また同人、企業限らずゲームのプレイできる時間を見つけてプレイするのも推奨しています。
 同じ媒体である以上、やはり他の作品からインスピレーションを得る機会は多いので、
 製作時間を大幅に取られないように、という大前提も付けますけが、
 その他アニメ、ラノベ等も時間をみつけては視聴、読書することを勧めています。

 

 
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Q10:『開発途中に、開発環境 (ゲームエンジン等) の変更』のご決断をされたことはございますでしょうか?
  おありの場合には、どのようなことを目的にご変更をなさったか。また、そのご決断が吉であったか凶であったかと
  その理由についてお聞かせいただけますと幸いです。


  ありません。


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Q11:(Q12とセットの質問です)
  『2作品以上の並行開発(あるいは、ゲームと同人誌等、ジャンル違いの同時製作)』をされた経験はございますでしょうか?
  もし経験がおありの場合は、それを成功させるため、どのような工夫・留意をなさったか、お教えいただけますと幸いです。


  あります。まずは参加イベントと方針を先に決めてしまい、申し込みだけ先に済ませてしまいます。
  結局はサブのラインなので、スケジュールは事前に少なめに設定して、それ以外の時間は可能な限り
  メインラインに費やせるようにしています。
  一番重要なのは、イベント参加の当確が出てしまうと【意地でも作らないといけない】、という気持ちになるので、
  決定的な締め切りと目標を定めて臨むことが大切だと思っています。
  イベントという明確な目標があると、やはりメリハリがつけやすくなるのでかなりモチベーションの調整には便利です。 


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Q12:Q11で 「経験あり」、とお応えくださった方に重ねてのご質問です。
  『並行開発(同時製作)を 行っていた際、感じられたデメリットはございましたでしょうか?』
  もしお感じの点がございましたら、それがどのような点で、どのように対処なさったかをお教えいただけますと幸いです。


  決定的な製作の遅れが間違いなく最大のデメリットです。
  こればかりはラインを増やして人数も増やす、なんてことも同人である以上なかなかできないので、
  参加イベントを決めて、サブラインのスケジュールは可能な限り短めに設定して製作を行いました。
  実際は製作スキル、経験値も上がるので、悪いことづくしではないのですが、
  時間もやはり有限で貴重なので、上手く使わないといけないな、とそのたびに感じます。



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Q13:『進学・就職・引越し等による、制作メンバーの生活環境の激変』を経験されたことはございますでしょうか? 
  もし経験がおありの場合には、どのように対処なさったか、その顛末などお聞かせいただけますと幸いです。 


  あります。事前に連絡は密に、現状報告(引っ越し状況や製作関連も含めて)を
  できるだけできるようにという指示はしたのですが、
  当人の状況に合わせてモチベーションも変動してしまいますので、うまくいきませんでした。
  結果その期間は連携がほとんど取れなく、なすがままに翻弄されました……
  これが同人の限界でもあるのだな、と感じましたね。


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Q14:『製作を原因とし、あるいはそれに大きな影響を受けたことにより、健康を損ねた(病気、怪我等)』ことはございますでしょうか?
   あるのでしたら、お差支えなければその症状を。
   また、あるにせよないにせよ、健康維持のため留意・工夫されている点などをお聞かせいただけますと幸いです。


  視力・体力の低下などの典型的なPCに張り付いている人間に起きる症状がやはり慢性的にありますね。
  自分の場合は、目の疲労から来る頭痛などが多いです。そのたびにバファリンの半分の優しさにのお世話になっております。
  PCから離れるわけにはいかないので、こればかりは諦めて、頭痛と向き合っています。


  健康とは関係ないのですが、メンバーの半数が学生なので、皆が単位を沢山落としました。実はかなり洒落になりません。
  今は就職活動氷河期なので、なかなか厳しいです……
  


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Q15:『マスターアップまでの予想作業量、予定製作期間の見積り』は正確ですか?
  また、それを正確なものとする(あるいは正確な物に近づけるため)
  留意や工夫をしている部分はどのようなものでしょうか?

 
  同人という制限の存在、および参加イベントを締め切りとするというスタンスを基本とっているため、
  作業見積もりを立てたとしても、時間が許す限りクオリティ向上を図ろうとしてしまいます。
  (CGを増やす、演出を強化するなど)
  なので良くも悪くも、作業量の見積もりは変動するものとして考え、
  完成時期は、よほど完成系が見えてこない限りは暫定的なものとして扱っています。
  とにかく、事前に決めた段階分けした締め切りがあるなら、それは可能な限り守る、という所だけ重要視しています。




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Q16:『“あなたが、同人ゲームを製作する理由”は何ですか?』
   お聞かせいただけましたら幸いです。
 

  結局、同業の方は皆同じ感じだとは思いますが、
  【自分の考える「世界」を形にして残したい。】という気持ちが原点です。
  さらにその「世界」を多くの人と共有できるのが理想です。
  『俺はエンターテイメントを極めたいぜヒャッハー!』な気持ちも無いわけではありませんが、
  それは後付けされたものにすぎません。
  限られた人にでもいいから、自分達の作品を楽しんでもらえれば幸いですね。



      






<頂戴したご回答は以上です。ご回答、ありがとうございました!>