『Why did we DeathMarch on 同人ノベルゲーム 〜錬電術師で死にかけるまで〜』

【テスト版】 の、試読モニターさんからのご感想



< しか男さん から頂戴いたしましたご感想 >

+ このご感想は、頂戴したご感想を参考に、内容の改善を図るための 【テスト版】 に対する
ご試読レビューとして頂戴いたしましたものです。
ご指摘いただいた各所ののうち、改善させていただきたき部分につきましては、
改善・改良点として製品版に反映させていただきました。


+ ご感想は許可を得た上での転載をいたしております。



+ また、特に必要と思われます部分には(蛇足を承知で) <編注>を加えますことをご容赦ください。




■ 『Why did we DeathMarch on 同人ノベルゲーム 〜錬電術師で死にかけるまで〜』 テスト版 "ご試読後の感想"



Q1:あなたの立ち位置を教えてください (制作者さん、プレイヤーさん、レビュワーさん、同人ゲームに興味の無い方 等々)

制作者(シナリオ、制作進行、印刷・デザイン)
また印刷会社のしがないサラリーマンとしても同人業界に接点を持っております。



Q2: 『How to making 同人ノベルゲーム  -錬電術師が出来かけるまで-』 に、何を期待して読んだかを教えてください

タイトルにDeathMarchとありますので、恐らく、窮地に陥っていたのだろうと推測しました。一見順調そうに見え、且つとても質の高いゲームを制作されている不機嫌亭様がいつ、どのような理由でデスマーチに追い込まれ、その結果どうなり、どうやって抜け出したのか、その知恵に私淑できるのではないかと期待しました。

また、前作(できかけ)には、プロや企業のようなノウハウが収斂されたハウトゥ本では得られない「生データ感」があり、常に自分の数十・数百歩先を、しかし目を凝らせば足跡を辿れるような時間差で歩かれている不機嫌亭様の試行錯誤の痕跡をそのまま自身の経験にフィードバックすることができ、とても興奮しました。今作にも同様の臨場感に溢れていることを期待しております。



Q3:読んでみて、その期待は満たされたか、満たされなかったかを教えてください

充分に満たされました。まず、読み物として非常に楽しめました。4コマ漫画にはキレイにオチがあり、そしてそれが本文の内容を端的に表していて、調和している。全体を通してとても良く構成が練られていて、突飛なことや意図が分からない部分が全く無く、スムーズに内容に没頭することができました。
その上で、ハウトゥ本としても成立していて、読み進めていくとまるで自分のサークルを見ているような気分に……。なるほどあのときのケンカはこれが原因だったのか。なるほど、だから締め切りを一カ月も過ぎてしまったのか。教訓めいているのに説教的では全くない。そう自省しているうちに次々と改善策を教えて頂けるような、とても身に染みる内容でした。
そして全編を通して最も強く思ったことが「この方は読者サービスのために身を削ってらっしゃる」ということでした。普通だったら体裁を気にして、ちょっと美化しちゃおう的な心がジャマをするはずなのに、そんなの全くなく、いかに読者の血肉にできるかを真摯に考えて下さっているのがヒシヒシと伝わってきました。<注1>
熱くて、冷静で、真剣で、おもしろい。そして少し怖くなる(読者自身の未来が)。そんな、ゲーム制作サークル従事者には必読の本に仕上がっていると思います。




Q4:発見した誤字、脱字、レイアウト上の不備、内容の不備などがありましたら教えてください


・レイアウトに関して
いくつか気づいたことや、私の方で蓄積したノウハウを書かせていただきました。申し訳ありません。記述のみでは説明しきれないので別紙を添えさせていただきました(PDFデータです)のでそちらも併せてご笑覧ください。 <注2>

1 余白と版面
 紙面に置ける版面が大きすぎるように思われます。各要素とカットラインがギリギリかと。ここは、文字サイズを5%小さくしてでも余白を大きく取ることをおすすめします。B5の場合、6ミリ〜8ミリくらいあると良いかと思われます。余白が少ないと紙面に統一感が出ず、墨一色ですので重たく感じてしまいます。また、印刷のズレや綴じ方によっては可読性の低下を引き起こす要因となります。

 全体的に中途半端になってしまってるオブジェクトが多く紙面が安定していない印象を受けました。オブジェクトの外側の仮想的な四角形のラインを、例えば版面のどこかのラインに、今よりも厳密に揃えるようにしてはいかがでしょうか。それだけで安定感が増すと思います。また、このタイプの紙面設計ではジャンプ率(文字等の最大サイズと最小サイズの比)は高すぎるのは推奨されていません(高くすると賑やかな紙面になってしまいます)が、低すぎると要素にまとまりやリズムが生じずぼやっとした紙面設計になってしまいがちです。例えば下部コラムの見出しや、本文の見出し部分などのジャンプ率を少しだけ高めにしてみると視線の誘導がしやすくなるかと思われます。

2 文字サイズと改行幅 
 また、文字の折り返しが不規則であるため、矩形を意識できず文章が不均等な領域に流れているように見えます。行送りが狭く行長が長いため、可読性が低く読者を疲れさせてしまいます。ジャスティファイをかけ、出来る限り改行の数を減らすなどした方が良いかと思われます。行送りも19H程度取ることを推奨いたします。

 もしくは、現状の組み版設計が文字サイズ12Q 行送り14歯付近だと思われますが、
これを10Q・16Hにし、二段組みにするという方法もあります。こうすると行長が短くなり=視線の移動距離が少なくなり=改行が多くても読みにくさを感じることはありません。(行送りが160%以下の場合、1行あたりの文字数は27文字を超えない程度が限界値だと思われます。改行が多い場合ば20文字程度が理想的です)
 
3 下コラム
 本文に対する包括的なまとめと回答が下コラムになっているのですが、初読の際、私はそのことに気づきませんでした。本文だけ先に読み、二週目に本文とコラムの両方に目を通すという方、結構いらっしゃるかと思います。囲みコラムは特に本文とは別物だという刷り込みが結構あると思います。ですので、コラム部の見出し等をもう少し目立ちやすい物にし、ここは本文の続きなのだと訴えるようにした方が良いかと思われます。また、平網が入っている矩形部分とコラム文章部分との間の余白がほぼゼロですので、ここも均等に内側に入れ余白を取った方が美しくなります。


文章に関して

L=行数です。空改行も含めています。

P5

L1 ご意見・御要望
→表記揺れ。漢字(御)か仮名(ご)どちらかに統一した方が良いと思われます。

L4 ご要望を頂戴いたしておりませんでした
→二重敬語ではないのですが、少々ぎこちなく感じてしまいます。平仮名が連続するからでしょうか。可読性を優先するのであれば「頂戴していなかったので」ですが、読者様への敬意を重視する場合なら「頂戴しておりませんでしたので」や「頂戴致しておりませんでしたので」のように代えた方が可読性が高いかと思われます。


L5 短い、もっと長く! 
→記号後、全角アケの規則は次に記号がくる場合は回避することが推奨されています。よって、短い、もっと長く!≠ナOKだと思われます。他ページにも同様の表記がいくつかあります。

→また、斜線型引用符(=j後に1/2emのアキがあいていますが、可読性や見栄えから考えるにツメた方が適切かと思われます。しかしながら起こし括弧()前や受け括弧(=j後の半角アケは許容されます。※しかし、【「〜】や【〜=v】前述のように記号が連続する場合はベタ組みが推奨されています。

L8~9 そのご要望が、『全プレイヤーさんのご要望の集大成』≠ナあるように、
    私ども〜
→であるように、で改行が入っていますと文意がそこで途切れ、願望を表現したセンテンスであるように読めてしまいます。(すぐにそうではないと判断できますが、やはり迷いは少ない方が通読時のストレス軽減に繋がると思われます)

下部コラムL6 〜の重さは、当然、変更、改善に対する〈御要望〉と、
→当然と変更と改善が羅列された単語であるかのように見えてしまいます。〜の重さは当然、変更・改善に対する のようにセンテンスの並列と直列は視覚的にも分かれている方が読みやすいかと思われます。

下部コラムL9 感じ無くなり
→感じない は、感じるの未然形(感じ ナイ)ですので漢字表記は不適切かと。


P7

L3 <欲しいと思った〜
→山パーレンではなく不等号になっています。誤<→正〈

下コラムL1〜  以前 日本銀行の見学会に行った時、「お金の〜
→文章が入り組んで少々、すっきりと読めないように感じます。また、並列表現の語句は出来る限り統一した方が良いかと思われますので、「以前 日本銀行の見学会へ行った時の話です。ビデオからも、案内のお姉さんの口からも、パンフレットでさえも再三、『お金の使い方は、その人自身を表す』のだと繰り返していたことに強烈な印象を受けました。」など、主述を近づけてやり、階層の深い入れ子構造は避けた方が良いかと思われます。

P9

L4〜5 >〜
→引用部分、天付きになっていますが、字下げをした方が適切です。
また、L7の2倍ダッシュも天付きですので他本文と統一すべきだと思われます。

P13

L5 ニアリーイコールが転んでいます。
コラムL 凝りる→懲りる


P15

L1 作成しなおした
→改行が入るため 「〜し、なお」の文に読めてしまいます。直すは感じ表記の方が良いかもしれません。

L10 狩野さん
→身内の方に敬称を付けるのは避けるべきかと思われます。


P17
L12 発生します。 そして〜
→一文字余分なアキがあります。

L17 不機嫌亭ゲーム班、というか私も。ですので、以下のように考えました。
→文意を把握しきれませんでした。
 ・不機嫌亭ゲーム班というか、私もですので、以下のように考えました。
 ・不機嫌亭ゲーム班も(というか私も)、ですので、以下のように考えました。 
 ・不機嫌亭ゲーム班も、というか私も。 が前センテンス、「ほぼ比例する」を受けている。
 など、いく通りの読みようで読むことができますのでご一考ください。

L19〜21  (ほとんど出来てるし〜)
→P15 L5〜6では<〜>ですが1字下げしていました。統一すべきだと思われます。


P19
L2 V0.90〜
→バージョン表記はv0.90(vを小文字)にした方が適切かと思われます。
 ……しかし、縦書きでv0.90とあってもバージョン表記だと読めないかもしれません。Verで一文字のタテ中横にするのも方法かもしれません。

L7〜9 箇条書き
→P13では一、二、三となっていました。同様の表現だと思われますので、可能であれば統一した方が良いと思われます。

L21〜22 こだわりを〜区切る
→こだわりという語と区切るという語の組み合わせに若干違和感を感じます。
 こだわりに〜区切りをつける  などでしょうか。


P21

L24 そして――
→再開にとりかかれない→そして→捨てる神あれば拾う神あり
となってしまいますので、否定接頭語にすると良いかと思われます。


P33 コラム L13〜14 作り込むことから制作に入り(〜略〜)。
→丸括弧前の文章が丸括弧後に受けられていません。制作に入ります(略)。のようにすべきかと思われます。

文章、レイアウトに関しましては以上になります。
あくまで私個人の経験則によるものですので見当違いのことや不勉強等多々あると思われますがなにとぞご容赦くださいませ。




Q5:本全体として、良かった点がもしあれば教えてください


四コマ→本文→コラムという流れは見事だと思います。各要素に分かれていることで読者を飽きさせずに、また、内容を漫画と体験記と解説に分けることによってフィクション・主観・客観の三段階で見ることができ、それが深い理解に繋がっていると思います。
また、制作が終わってから→モチベーションを維持して→次の制作へという、普通のハウトゥ本ではあまりフィーチャーされない内容にスポットライトが当たっていることも良い点だと思います。アンケートへの対応や制作費の扱い方など、本質とは違うと思われがちな所が実は本質と交じり合っている、とても興味深いと思います。それからP35で泣きました。

 また、自己主張していないように見えてとても軽妙且つ個性的な語り口がとてもおもしろく、構成の良さと相まって、目の前で語って頂いたかのような錯覚を感じました。





Q6:本全体として、「ここはちょっと」という点がもしあれば教えてください



句読点の打ち方、括弧の置き方に慣れるまで少し時間がかかりました。
括弧など、全体的に強調しようとしすぎて相殺してあまり目立たなくなっているように思いました。また、複数の意味で文意が取れる箇所がいくつかあり、その部分がテンポを少し悪くしているように思えます。



Q7:その他、何かお感じになられたこと等がございましたら、ご自由にご記述ください
 
・前作(しにかけ)読者じゃなく、
・錬電術師も知らず、
・この本で初めて不機嫌亭様を知った
という新規読者の方のための解説や年表のような物がページ前半(前書き付近)などにあると親切かもしれません。もしくは前作のダイジェスト的なものであったりとか。




<注1> 私は、「まだまだ自分を美化していた」 と、狩野さんマンガで思い知らされました!
      その情け容赦ないさらけ出しっぷり、是非とも製品版でご確認いただけましたら幸いです!! (泣笑

  

<注2> スーパーありがとうございました!! 実例で示していただき、 
      「他のレビュワーさんからも “読み辛い” って ご意見頂戴しているす、ぜひ直したいんだけど どうすれば」
      というその答え! まさに見つけさせていただくことが出来たかと存じております!!

             事情あり、.png形式での公開となりますが、

      『修正前のレイアウトがこちら』

      『しかおさんに頂戴した修正レイアウト案がこちら』

      『修正後のレイアウトがこちら』

      ――となっておりますので、ご比較いただけますと幸いです!



           






<いただいたご感想は以上です。ご感想、ありがとうございました!>