つねちゃんさんから頂きました「錬電術師最終章 Re_turn 家路 -かや、くろえ、カナヘEDのご感想」のご紹介


+ご感想は許可を得た上での転載をいたしております。
また、<ネタバレ部分>についても そのまま公開させていただいておりますのでご注意ください

+また、必要と思われます部分には(蛇足を承知で) <編注>を加えますことをご容赦ください。



 正月から降り続けた雪が積もり重なってこちらでは40センチほどにもなりました。
 近年まれにみるほどの大雪です。湖東のあたりだと1メートル越えているでしょうね。それに比例してか錬電最終章・家路の感想もなんか凄い事になってしまいました(笑)。

 一章・二章・全章体験版は一年以上前にプレイしたものだった為細かいところはうろ覚えでしたのであの文章量でしたが、旅路はプレイしながら感想書いていたらとんでもない事になってしまいました。

   序盤イザック達の言った、かや姉の「生きた肉体」の確保というのは錬電術でも容易に可能なのでは?と思いました。

   車中の局長さんとの会話の、人との係わりの中で"人間"になっていくの件(くだり)が少し分かり辛いかもしれないと思いました。例えば狼少女(赤子の頃から狼に育てられた実在の少女)の例を挙げるなどして、環境と係わりが社会との親和性を育み「人間」を育てていくとした方が解りやすかったかもしれません。

 自衛艦のメニューは旧海軍の時代から曜日で固定だったと記憶しています。長期間の洋上での作戦に従事する事が多いので曜日感覚を忘れない為の処置だそうです。海自だと金曜日は必ずカレーです。余談ですが横須賀・舞鶴・呉・佐世保の旧軍港は海軍カレーで町興しをしています。その中でも舞鶴と呉は肉じゃが発祥の地で争っています。ちなみに肉じゃがは舞鶴・呉間を航行中の東郷平八郎提督が、英国留学中に食べたビーフシチューが食べたくて艦のシェフに言ったところ、ありあわせの材料でそれらしきものをでっち上げたのが発祥らしいです。日露戦争の頃のお話ですね。
 さらに余談ですが白菜が日本に入って来たのも日露戦争の際の大陸進出がきっかけだそうです。あと腹痛の薬の正露丸も、日露戦争の時に大陸の水が悪くてお腹を壊す将兵の為に"征露丸(露西亜を征服する為の薬)"として作られたそうです。まあ同時期につくられたロシア東部のウラジオストークの町も、ロシア語で「極東を征服せよ」という意味らしいですからどっちもどっちですね。

 くろえ姉ルートの感想ですが、やはり貴一がアドバンテージを持って対ドラゴン戦をリードした方が良い結果を生んだ様に思いました。
 横須賀配備のイージス艦はあたご級でなくこんごう級なので海面付近の敵性物体の捕捉には非力でも、以前に述べた殲滅戦術なら問題なく遂行出来たと思えますから。
 まあイージス艦が無くても気象衛星の一つとメインフレーム級のスパコンがあれば同様の戦術は可能でしょう。フジマルライガーのネーミングセンスは正直無いだろうと思いましたが、夢の島の"廃棄物"達の想いには胸が熱くなりました。
 ただ毛利元就の三本の矢の故事ではありませんが、生まれたてとはいえ数億もの"物(つくも神)"の想いを束ねたモノならば、もっと強くても(単体の管のサササホ君とかと比べて)良かったのではと思いました。相手のドラゴンの強さも数十億もの無意識の集合体だからということなのですし。それと『病』の後家さんには利きそうにないですが、『傷』のドラゴンに毒が利くならもっと楽な対処法がいくらでもあったように思いました。貴一君は頭で考えて戦術を練るタイプのキャラクターなので、もう少し上の戦術を編み出して欲しかったです(まあその場でとっさに浮かばなくても後でならいくらでも思いつくのでしょうが)。

 くろえ姉ルートのエンディングはやや唐突に感じました。でき(かけ)によると錬電術師はR30で制作したようですが、そうだと推定プレイヤー層は穿ったものの見方をする三十台が多そうです。現状だと貴一がこども園を作る動機が見えてこないです。かや姉の生まれ変わりの少女を迎えるというENDのため"だけに"取ってつけたような展開に見えました。「安西先生、俺、突っ込み入れたいです」とか思ったプレイヤーは多い様に(関西人の感性では)思いました。
 たとえ魔術が広く世間に知れ渡ったとしても、古くから魔術の家系に生まれた貴一がなかなか魔術師になれなかった(管術師としてのくろえ姉も)様に魔術師になれるのはほんの一握りの人間だけでしょうし(簡単に魔術師になれるものなら「本当に価値のあるものは隠そうとしても隠し切れない」と、かや姉ルート中の記述にもあるように、これまで魔術が秘匿されてきた事に説明がつきませんから)、ミッションという"現代魔術師の仕事"も今まで通り続けられるでしょう。
 こども園という自営業を経営するのは『採算が不透明な自営業を経営し続ける覚悟』や『保育士という仕事に従事し続ける覚悟』や『子供の面倒という厄介な仕事を一生続ける覚悟』がないと出来ないと思われます。生活するだけなら例え危険を伴っても今まで通り"ミッション"を続ける方が遥かに楽(で慣れた)な生き方(親方日の丸で失業することも無いですし)だと思われます。
 錬電術師は基本貴一の一人称で進みますから、まず『十年が過ぎた』で区切り、貴一の述懐で進めた方が良かった様に思います。そしてほんの一文でもよいので、例えば『亡くなった自衛官の遺族と接した事が』とか『ドラゴンブレス二射目で甚大な被害を受けた品川を見て』とか『災厄が"散った"後の世界で統計的に増えた孤児を救おうと思った』とか『伊達直人(タイガーマスク)運動に賛同して』等の"こども園を作る動機"が見える文章があれば良かったと思いました。
 種が撒かれないと花は咲くことはありません。相変わらず余談が多いですが、私が近鉄ファンになったのは私がまだ幼かった頃近鉄が優勝したことがあり(パ・リーグ優勝です。日本一には最後までなれませんでした)優勝フェアを近くでもやっていて、その時近鉄バッファローズの野球帽を買ってもらいました。私はその事は覚えていませんが、物心ついたばかりの私は外に遊びに行く際にはいつもその帽子を被って行きました。私の周りには他に近鉄ファンはいませんでしたし近鉄の選手も一人も知らなかったですし当時はパ・リーグの試合のTV中継なんてありませんでしたが私はそうして近鉄ファンになりました。
 こども園をつくるというのは魔術師一家であった貴一君達にとって何かきっかけがあっての人生の転機なのではないでしょうか?例えささいなきっかけであったとしてもそれを知りたいと思いました。ショートショートの第一人者の星新一氏の言われた話ですが「どんな荒唐無稽な話を作っても構わないが、最低限のリアリティーは持たせないと作品世界が崩壊する」という趣旨を語っておられました。貴一君達の"こども園を作る動機"の有無は『くろえ姉エンド』の"作品世界が崩壊"しかねない欠損ではないかと個人的には感じました。

 かや姉ルートの感想ですが。魔術書として挙げられた金枝篇は私も読んだ事があります。普通に学校の図書館に置いてありますよね。原始的な感応呪術のバイブルです。マナカさんの回想って古代エジプト時代なのでしょうが、という事はその時既に無意識の集合体である"災厄"とそれを封印し続ける錠家が存在していたという事なのですか。だとすればマナカさんの住んでいた国は古代エジプトでは無かったのでしょうね、お師様が王と言っていましたがエジプト神話で"犬神"だと"神々の番犬"アヌビス神になり神の格が王の化身として相応しくないものになりますから。古代エジプトの王(ファラオ)は太陽神ラーの代理ですから、化身の神格としてはラーか"王権の守護者"ホルスくらいでないと妥当ではないですし(女王だとそれらに加えてバステトやセクメトも候補に入りますね。新王朝時代だとアメンとかも王の化身になりえますがアヌビスは無いです)お師様は古代エジプトの周辺国(おそらくスーダン辺り)の王だったと推理しました。
 まあミイラを作っていたのはエジプト周辺だけでなく古代中南米でも同様の葬儀を行なっていましたしあの辺りの原始宗教はあまり記録に残っていないので的外れかもしれませんが(マヤ神話とアステカ神話も一度読んだ事がありますが、錬電二章の死生観の件は記憶にありませんでしたから私の知らない古いお話がまだまだ沢山あるのでしょう)。
 ノアさんの主って貴一母(新生アラディア先生に混入)なのではと思いました。一章の新幹線での会話が伏線なのかミスリードなのか気になりますが、『最終章・旅路(アラディア先生ルート)』がますます楽しみになりました。
 "報酬の一万円の姿をした式紙"は、さっさとお金として使われることを考慮しなかったのだろうか気になりました。途中お買い物もしましたし。まあ"諜報の本職"なら"鶴瀬さん"から聞いていた貴一の話からプロファイリングしていてても不思議ではありませんが。
  "冥府の花嫁"の原典はスラブ系言語のようですが見覚え無いですね。まあオルフェウスやイザナギや白雪姫の物語の近似値を取るみたいですし、死者蘇生という"魔術"は人類普遍の形式だと理解しました。
 死霊術師と腹話術の組み合わせはフーディーニのことでしょうか?むしろ交霊会を否定する側だったように記憶していますが。

 世界の全ては粒子の集合体で不変と言っていましたが"反物質"の存在を知らないからなのでしょうか。創生(ビックバン)の際に全てのエネルギーが物質と反物質に変化し、物質と反物質が対消滅をして再びエネルギーに還り再度物質と反物質が生成されていく流れの中で物質と反物質の僅かな"寿命"の違い(反物質の方が僅かに寿命が短いと観測されています)から世界(宇宙)は物質に拠って満たされていったと最新物理学及び宇宙学では予測しています。 "純白"を私は雪のようだなと思いました。綺麗なものも汚いものも全て等しく覆い隠して、音さえ溶けていくようで、とけさった後は全てが残っていても"優しくそこに置いてある"様が雪のようだと感じました。
 百万の借金無くなったのにどうして奨学生になる為一年間もパチンコ屋で働いたのか?苦学生なら新聞配達の方がらしいのでは?くろえ姉エンドの時とは違って"動機"よりも"手段"に違和感を覚えました。まあ違和感自体もくろえ姉エンドに比べればそんなに大したものではありませんでしたが。生まれ変わったかや姉との邂逅は、くろえ姉エンドの時ほどの衝撃は無かったかわりに幸せな予感を感じさせる"雪のように"優しくそこにある"春"が待ち遠しいと思わせるエンドでした。

  家路全体の印象は、かや姉ルートは一章・二章をプレイしたのと同じ感覚でプレイできましたが、くろえ姉・かなへルートは貴一が主体となって行動出来ないためか選択肢が少ない為か非常に"窮屈"に感じました。(*1)
 二章が"話の展開"的にとても広かったため余計にそう感じたのかもしれませんが。同じ一本道だとしても流されるだけでなく貴一君から作戦内容に対してもっと提言して改善される場面("作戦"に対するプレイヤーキャラクターの介入の余地)が欲しかったと思いました。くろえ姉・かなへルート分岐の選択肢の場面が作戦に口を出す唯一の場面でしたが、もっと貴一君に前面に出て欲しかったです。

 あとえちシーンはあいかわらず貴一君つば飲み過ぎつばで溺れるぞと思いました(笑)。画面隅にでも『貴一くんがつば飲んだ回数カウンター』を設置しておけば誰のルートで一番たくさんつばを飲んだのか比較できて面白そう(笑)。これは日本野鳥の会を召喚するしかないっ!(笑)。

 全クリ後のCGモードですが、フジマルライガーの大きい雄姿も(CG差分として)見たいかな?とかグレン君のファイヤーボール射出画面も(二章で既出ですが)見たいかな?と思いました。

  錬電術の新解釈について。錬電術があればはやぶさ不要?電波望遠鏡にアクセスして六芒素粒子下で小惑星の物質の組成を読み取りそれを綾取れば、サンプル無限増殖で宇宙開発に多大な進歩をもたらすかと。さらに錬電術を応用すれば、電波望遠鏡にアクセスして他の天体(惑星や衛星や小惑星)の地表上の物体を綾取れば探索機や観測装置を設置も可能ですね。


編注(*1) 貴一くんの主体的印象の強さ選択肢数とは 「直結する」ものと、ご感想拝読して気付きました。
同 気付き始め、感じさせていただきました全て!
「家路」 「夢路」そしてそれ以降で、必ずや 活かしていきたく存じます!!


<いただいたご感想は以上です。ご感想、ありがとうございました!>