【病院、デイブの病室】 + 暗転したままの画面、声 ?   「痛みはありませんか?」 ?   「ええ、大丈夫です」 ?   「それじゃ、包帯を外しますね」 + 画面、閉じた瞼の上にされていた包帯がほどける感じで、徐々に明るくなる ?   「はい、ゆっくり目を開いてみてください」 + 画面、明るくなる。そこには、医者と看護婦と病室 医者  「ああ、腫れは完全に引いてますね」 + 医者、鏡を見せる、そこに映るのは、元気そうなデイブ   + 医者、鏡を動かす、と、その中に時計が移りこむ、デイブの表情、ハっとする。   カメラ引く デイブ 「先生! すみませんっ、検査の続きはまた後で」 医者  「お、おい」 + デイブ、待合室のロビーに行く、そこでは、丁度タイトルロールが出ている   『第×回、アカデミー賞授賞式』 (←英語で) --------------------------------------------- 【アカデミー賞授賞式】 <印象的な短いカットを重ねて、モンタージュで上手くいった撮影ということを伝える>  + 台本を振り、ゴーを出すクロード + 舞台上、上がる幕 + ジョンがカメラ操作する手元 + (ジョンのカメラで) 司会者たち + 照明スタッフが照明を調整 + ジョンの真剣な目 + (ジョンのカメラで) 主演女優賞、オスカーにキスする地味な美女 + (ジョンの家) 授賞式を見ている妻、キャサリンと息子 マイク (楽しそう) +  クロード、ヘッドセットに指示 +  ジョン、口元ニヤリ + (ジョンのカメラで:ここだけ長回し)        センターマイクに向かって歩いてくる俳優、顔アップ。     ↓       移動する彼の姿を、カメラ ドセンターにとらえながら、カメラはブレなく、グルリとまわりこみつつ引いていく     ↓      ロング、俳優の後ろ姿ナメで、観客席。満場の観客が、万雷の拍手を俳優に送っている。 +  (見事なカットに)クロード、ガッツポーズ!    クロードと一緒にモニターチェックをしている編集者、ヒュ〜っ! と口笛 +  必死でジョンのケーブルをさばきまくるAD、とケーブルが不意に動かなくなり、    ぽとり、と一滴の汗が落ちてくる。   ADはジョンを見上げる、ジョン、緊張した面持ち (そこにかぶさる声)     「――――本年度の、撮影賞は」 +  暗くなる画面、会場を走り回るスポットライト + 「『バーべキュー・ブラボー!』」 + (ジョンのカメラ)    スポットライトがあたり、わっ! と沸き立つ一角。    その真ん中で、ジョンの元カノ、ドロシーが嬉し泣き笑いしている。     +  ジョン、一瞬だけ笑って、すぐに真剣な表情 +  また動き回るケーブル、あわててさばくAD +  クロードの傍ら、タイムキーパーがカウント、クロード、手の台本はぐちゃぐちゃ +  (ジョンのカメラ)    司会者 「それでは、また来年おあいしましょう!」 +   華やかな音楽、画面、ブラックアウト +   黒画面に、クロードの大声かぶる 「OK! オールOKだっ!!」 --------------------------------------------- 【地下駐車場、ロケバス周辺】 +  クロード 「今日はここで解散だ。お疲れ」    一同   「お疲れっしたーーーっ!」 +  三々五々に散っていく一同、ジョンも、自分の荷物をまとめる、と誰かに肩をたたかれる    スタッフ 「お疲れ」    ジョン  「!?」 +  ジョン、戸惑いつつも、ぎこちなく返事を返す        ジョン  「あ、ああ――お疲れ」 +  他のスタッフも、ジョンに声をかけたり、目礼したりしながら帰っていく        スタッフ 「んじゃ、また」    スタッフ 「乙ー」    スタッフ 「この調子で頼むぜ」 +  ジョン、あいさつを返し、自分の車へ向かう と、クロードの大声    クロード 「ジョン! タイムカードを忘れてるぞ」    一同   (明るい笑い) +  ジョン、振り向き、帽子のつばを上げて、照れ笑いする --------------------------------------------- 【TV局、廊下】 + ジョン、タイムカード押す + 出口に向かって歩き始める、と、局廊下に新しい張り紙が今貼られようとしている    【速報! “アカデミー賞授賞式 201x 27.0%!”】  + ジョン、興味無さそうに目をそむける + 廊下の角を曲がった瞬間、ジョン、小さくガッツポーズ --------------------------------------------- 【ジョン 自宅】 + ガレージに、静かに駐車される車 + ジョン、窓際をゆっくり歩く、漏れてくる妻子の声 マイケル  「今日ので、どれが一番良さそうだった?」 キャサリン 「そうねぇ・・・『バーべキュー・ブラボー?』」 マイケル  「だよね! ってか、今度見に行かない?」 キャサリン 「でも、お父さんが」 マイケル  「内緒で行けば平気だよ!」 ジョン   「内緒じゃなくても、平気だ」 (窓がらり) 凍りつくマイケルとキャサリン ジョン、車を指さす ジョン   「オレも見たいと思っていた。今から行こう」 +キャサリン、パァっと嬉しそうな顔になる、マイケル、反撥 マイケル  「な、なんだよ急にっ!」 ジョン   「行かんのか? 良い映画だぞ」 マイケル  「ってか! 今まで さんざん」 キャサリン 「マイク、お父さんのオススメなら、本当に良い映画よ?        見に行かなきゃ、もったいないわ」 マイケル  「……後で文句言うなよな」 + クルマのドア、閉まる + 暗転 --------------------------------------------- 【エピローグ 映画館】 + 突如! けたたましいブレーキ音、 + クルマのドア、開く、と、そこに銃撃が遅い来る!! + 開いたドアを盾に、髭面のメキシコ人が応戦、 (映画中のシーンであることがわかる) + ポップコーンを片手に、夢中になってみているマイク + と、その一個向こうの座席では、やはり真剣なまなざしで、ジョンがスクリーンを見つめている + キャサリン、幸せそうに微笑み、スクリーンに目を向ける + スクリーンでは、ヒロインと主役がキスをしている。   + エンドマーク “ハッピーエンド” + スタッフロール、流れる + おしまい                      +